Chronos 音響機器の最適化器 徹底検証 | 総編集長によるレビュー

全ての内容は雑誌「Audio Art 」No. 403, 110-113頁 から抜粋されています

総編集長 | 劉漢盛

一般的に、私はあまりオーディオアクセサリーについてコメントをすることはありません。しかしながら、このオーディオアクセサリーが注目を集めていることを考慮し、私は自分の視点を提供することに決めました。実際には、Nirvana Audioが私にこのデバイスを雑誌社に送る前に、私は既に 台北国際 Hi-End Audioショー 2021 でそれを短時間聴いていました。展示会場の空間音響条件が完全ではなかったにも関わらず、その場でこのオーディオアクセサリーを取り入れた後、音響機器の性能に大幅な改善を感じることができました（単なる音質の変化ではなく）。また、会場でNirvana Audioの販売代理の担当者に尋ねたところ、部屋に入って音質の改善を感じることができたゲストのおおよその数についても問い合わせました。彼らからの回答は次の通りです：一部の人々はその違いを感じることができましたが、他の人々は感じることができませんでした。私にとってはこれは非常に普通のことです。実際、ケーブルの違いが聞こえない人もいますし、スピーカーパッドの違いが聞こえない人もいます。また、電源コンディショナーの違いが聞こえない人もいます。私の経験に基づいて言えば、ケーブルやスピーカーパッド、電源コンディショナーによってもたらされる微妙な差異を感じ取る鑑賞家、つまり真の音楽愛好家のみが、このChronos音響機器の最適化器によってもたらされる変化を感じることができると信じています。それは、通りすがりの人を引っ張り出して、その人が日常英語で外国人と円滑な会話をすることを期待することはできない、という考えと似ています。この原則はここでも適用されます Nirvana AudioのCEO自ら、このChronos音響機器の最適化器を私たちの雑誌社に伝え、その開発過程を私たちに授けてくださいました。該当の説明は、雑誌No. 401に掲載されております。私の経験に基づいて言えば、そのオーディオアクセサリーに関する説明は単なる参考に過ぎません。なぜなら、実際の体験がもたらす具体的な結果こそが真の意義を持つからです。このChronos音響機器の最適化器を受け取った後、編集チームは迅速に行動に移りました：コンピュータに接続し、ヘッドフォンを使って試聴するか、デジタルソース機器に接続し、スピーカーで音を鳴らして聴くなど、さまざまな方法でこの製品を活用しました。コンピュータにヘッドフォンを接続した結果に関しては、特筆すべきこととして、プロの編集者ではない編集助手たちでさえ、明らかな音響機器の性能の向上を感じることができました。しかしこの点はまったく重要ではありません。誰もがChronos音響機器の最適化器を単にヘッドフォンで使用するために購入することはありません。それは、誰もが Siltechケーブルをコンピュータで使用するために特別に購入することはないと言うのと同じです。

興味深いことに、編集者たちは私たちの雑誌社の試聴室のハイエンド音響機器でそれを聴いた際、ほとんどの人が改善を感じることができなかったというのが興味深いです。これによって私の好奇心がかき立てられました。台北国際 Hi-End Audioショー 2021では私が音響性能の向上を明らかに認識しながらも、雑誌社の試聴室では編集者たちが逆にそれを感じ取れなかったのはなぜなのでしょうか？そのため、私は雑誌社の試聴室で個人的に体験するための時間を作りました。興味深いことに、それは台北国際 Hi-End Audioショー 2021で聞いたものほど明確に現れませんでした。私自身も、どれだけの改善があったのかを確信することはできませんでした。

心に浮かんだ最初の思考は、もしかしたら明らかな効果は質の低い試聴環境や音響機器でしか聞こえないのかもしれないということでした。あるいは、パソコンを使用した場合にのみ効果が分かるのかもしれません。しかし、もしパソコンですらその効果を明らかにすることができるのであれば、ずっとハイエンド音響機器も同様にその効果を明らかにするはずです。異なる音響機器の影響を一旦置いておいて、「質の低い試聴環境であるほど、その効果が顕著に聞こえる」という考えを熟考します。 Hi-End Audioショーでは、部屋には空間音響条件処理が施されていなかったのに対し、私たちの雑誌社の試聴室はすべて空間音響条件処理処理が施されています。Hi-End Audioショーの間、部屋内の電源供給状況は劣悪でしたが、私たちの雑誌社の試聴室では徹底的な特殊電源処理を施しており、EMIメーターで測定すると、EMI値はわずか20以上の低いレベルになります。一般のアパートの電源コンセントは、1,000を超えるEMI値を示し、都市の電力が電磁干渉ノイズで満ちていることを示しています。我が家の試聴室内では、絶縁トランスを使用しているにもかかわらず、測定されたEMI値はまだ200を超えています。したがって、私の雑誌社の試聴室で記録されたEMI値は、私が最近の数年間で出会った中で最も低いものとなっています。

では、ではきれいな電力が改善を感じることを妨げているのかもしれませんか？もしそうならば、この製品の効果はEMIを吸収する能力にあるのかもしれません。それによって音響機器の性能が向上するのかもしれませんね。自分の考えをテストするために、携帯電話用の充電器でこの製品を充電し、それを私の雑誌社に持ち込んで事務室の電源コンセントに差し込み、測定を行いました。(なぜなら、事務室の電源は徹底的な電力処理を受けていないからです。)そのテストの結果、この製品がEMIを吸収する能力を持っているという証拠は見つかりませんでした。したがって、このChronos音響機器の最適化器はEMIを変えることができないと結論付けられます。

雑誌社の試聴室でこの製品の増強効果を感じることができなかったため(、しかし、Hi-End Audioショーでそれを体験することができたので)、私はそれを自宅に持ち帰ってさらなる評価を行うことに決めました。Nirvana Audioらは2つのChronos音響機器の最適化器を私に届けてくれましたが、私はそのうちの1つを家で使用しました。それをWeiss DAC502に接続しました。確かに音樂のパフォーマンスに明らかな改善を感じることができました。しかし、それはまだHi-End Audioショーで経験した明瞭さには及ばないものでした。私がこのChronos音響機器の最適化器を自宅で試した後、確かに音樂のパフォーマンスに明らかな改善を感じることができました。しかし、それはまだ Hi-End Audioショー で経験した明瞭さには及ばないものでした。私自身の試聴では、これだけで十分であると感じました。この製品が音響機器のパフォーマンスを向上させる能力を確認した後、将来の機会に編集者を私の家に招いてテストすることを決心しました。編集者たちは後続のテストレポートについて、試聴体験に関する別の記事でその印象を文書化しました。私は編集者たちに、相互の議論には参加せず、個々の試聴体験を忠実に表現するように依頼しました。もし彼らが何の差異も感じ取れなかったとしても、その事実を正直に描写していただくようお願いしました。(関連試聴レポート：陶忠豪、韓享良、許慶怡、蘇雍倫)

雑誌社の試聴室、事務室、そして私の自宅の試聴室での試聴の後、以下のような試聴コメントを述べさせていただきます。

1. Chronos音響機器の最適化器は、高音域、中音域、低音域の知覚的な強度を変えることはありません。

2. Chronos音響機器の最適化器は、人の声に拡大された存在感を与えることはありませんし、低音域に高まった弾力性をもたらすこともありません。また、高音域をより際立たせることもありません。

3. もし広がりのある音場を表現することができる音響機器に使用されるならば、この製品の活用により、その優れた特徴をより明瞭に鑑賞することが可能になるでしょう。

4. Chronos音響機器の最適化器は、かつて騒々しいと感じられた音声を、より美しい演奏に変える能力を備えています。

5. Chronos音響機器の最適化器の使用前後の複雑さと豊かさの差異は、Bluetoothヘッドフォンと非Bluetoothヘッドフォンの違いに似ています。製品を抜いた後、音楽は没入感や感情的な衝撃力が減少し、聴衆の感覚には空虚感や不完全さが生じます。

6. Chronos音響機器の最適化器は、ボーカルや楽器の表現をよりリアルにし、音場を拡大し、楽器とボーカルの音の品質を向上させます。

7. Chronos音響機器の最適化器は、楽器とボーカルの演奏におけるダイナミクスと対比を増幅させ、音楽を活気づけ、より生き生きと本物らしく聞こえるようにします。

8. Chronos音響機器の最適化器の影響は単なる「異なる」だけでなく、むしろ「向上した」と言えます。

9. Chronos音響機器の最適化器が提供する向上を知覚することができるのは、鋭敏な聴覚能力を持つ者のみです。私は、ケーブルやスピーカーパッド、電源コンディショナーの変化を識別できるオーディオファイルのみが、真にこれを知覚できると信じています。

私の推測では、この製品による識別可能な違いは、不利な環境試聴や劣れた音響機器の場合により際立つでしょう。しかしながら、この製品による向上の感じやすさは一つの問題ですが、元々のいくつかの劣れた音響機器によって生成される不愉快な音質を優れたものに変える能力は、まったく異なる問題です。不愉快な音質を引き起こす音響機器は、解決すべき多くの問題を抱えています。この状況を完全に変えるためには、単一のChronos音響機器の最適化器だけでは不十分です。言い換えると、この製品による向上度合いは、アンプの交換やスピーカーの入れ替えによって達成される向上度合いとは異なり、むしろケーブルやオーディオアクセサリーの多くで見られる向上度合いに類似しています。オーディオファイルたちにとって、ハイエンド音響機器に対するさらなる微小な改善は、どんなにわずかであっても熱心に求められます。これこそが、ハイエンドの完璧さを追求する精神です。自宅のオーディオシステムはすでに細部まで調整されていますが、Chronosは私のシステムの音響性能をさらに向上させる可能性を秘めています。このChronos音響機器の最適化器を使用すると、最初の感覚ではわずかな差異しか感じられないかもしれません。しかし、Chronos音響機器の最適化器の存在に慣れ親しんだ後に取り除くと、何か重要なものが欠けてしまったかのような、そこから悵然とした失望感ちがが生まれます。